割り勘
私たちは、デートや食事など、基本割り勘でした。
会社の同期でお給料が同じだったからです。
当時、私はそのことに何の不満も感じていませんでした。
ただ、クリスマスだけは彼がご馳走してくれる、というのが、付き合って数年来の私たちのお決まりになっていました。
彼の借金が発覚したその年も、クリスマスは外でディナーをすることに。
ただ、借金返済を優先してほしかったので、その年はクリスマスも自分の分は自分で出す、ということにしたのです。
さらに、毎年していたプレゼント交換も、その年は無し、ということにしました。
私としては、クリスマスディナーをおごってもらうよりも、プレゼントをもらうよりも、その分のお金を繰り上げ返済にあてて、一刻も早く借金を完済してほしかったのです。
そうしてクリスマス、年末、お正月と楽しく過ごし、年が明けてしばらく経った頃のことです。
借金発覚より辛いこと
前述のとおり私たちは会社の同期なので、男女問わず共通の友達が多いです。
そのうちの1人と私とでランチをしているときに、彼の話題になりました。
その時の友人の発言に違和感を感じて、私は彼にカマをかけたんです。(あれ、デジャヴ……)
「合コン、行ったよね?」
「……」
「行ったよね?」
「行きました……」
この時のこと、いま思い出しても頭がクラクラします。
借金が発覚したとき”頭が真っ白になった”と書きましたが、このときのショックはそれ以上でした。
体中が燃えるように熱くなって、心臓がきゅうっと締まって、考えるより先に涙がジワッと出てきて、指先だけが冷たく、手が震えて……。
いつぞや掲示板でみかけた、サイマーの定理が蘇ります。
サイマーはやさしい
自分にいちばんやさしい
彼にとっての私って、一体なんなんだろう
彼にもフラストレーションがあったんだと思います。
飲み会に行けなかったり、結局は他人である彼女(私)から自分の借金に口を出されたり。
でも、私だって、辛かった。
彼を信じていいのか、20代という女にとって貴重な時期を、彼に費やして本当にいいのか。
毎日不安でした。
でも、その度に、
彼を信じよう、借金のある彼と付き合い続けて幸せになった人がこれまで誰もいないんだったら、自分がその最初の一人になればいい。
そんな風に、自分を鼓舞してきていたんです。
それなのに。
それなのに。
年にたった一度のクリスマスディナーも返上してお金を浮かせたのに、その分合コンに行くなんて。
私に使うはずのお金で、他の女の子と遊んでいたなんて……。
最悪だ!おしまいだ!絶望と激昂
心は絶望したまま携帯を見せてもらって、
・合コンに複数回行ったこと
・他愛のないものだけれど、女の子とメールが何回か続いていたこと
を確認しました。
目の前で彼はシュンと項垂れて、ごめんなさい、もうしませんを繰り返しているけれど、そんな上っ面の謝罪と言葉より、彼のとった行動がすべて。
彼女がいるのに合コンに行って、連絡も取り合って。
借金の上に浮気、しかも彼女(私)とのデート代を浮かせて、そのお金でとか……。
された方からしたら侮辱以外の何物でもないですよね。
こんな風に軽んじることができるということは、彼にとって私って、いてもいなくてもどうでもいい存在なんだ、という事実が突き付けられたようで……。
もう、激昂しました。
人生で一番激しく泣き喚いたと思います。
自分が侮辱されたのが許せなかったんです。
取り繕うこともできず、子供みたいに泣きました。
自分の気持ちや不安、我慢してたことをワーワー言いながら、感情丸出しで泣きました。
……友達の出来事だったら「即刻別れろ!」案件ですが、結局それができないんですよね……。